この独特のボトル形状、シャンパーニュの売り場などで見かけた事はありませんか?
このシャンパーニュはSpecial Club(スペシアル・クラブ)という名でリリースされているもので、
Club Trésors de Champagne(クラブ・トレゾール・ド・シャンパーニュ)という、
現在では28からなる小規模優良生産者団体のメンバー毎のプレステージキュヴェの証です。
ラベルは生産者毎に異なりますが、メンバーはこの共通ボトルを使い、
個々のプレステージ・シャンパーニュを
団体内外の厳しい審査を経てリリースすることが許された
本当に希少で特別なキュヴェです。
自らのプレステージ・シャンパーニュのアピールと共に
同団体の各生産者が共通のボトルを使用する事で、
ボトル生産における余分な資源削減や生産一元化、輸送コストを削減などできるという、
今でいうSDGsの先駆けのようなプロジェクトです。
1971年に設立されたClub Trésorsは、シャンパーニュ地方で初めてのワインメーカーの団体で、
品質の最高基準に基づいたブドウ栽培のアプローチを提唱しています。
Club Trésorsは、何よりもまず、
卓越性という共通の目標に向かって完全にコミットしている、
志を同じくする男性と女性のグループを結集することを目的としています。
この先駆的な協会が設立されて以来、
メンバーはそれぞれのテロワールの本質を守り、
自分たちのワインの卓越した特徴を広めようと努力してきました。
今日、この哲学はかつてないほど重要な意味を持っています。
Club Trésorsは、シャンパーニュ地方の最も優れた地域から選ばれた
28のアルチザンワインメーカーで構成されており、それぞれがその仕事の質の高さを認められています。
Club Trésorsは、シャンパーニュ地方で唯一、厳格な品質基準に基づいてメンバーを選抜しています。
各ワインメーカーは、自社のセラーで完全にシャンパーニュを造らなければなりません。
さらに、シャンパーニュは自分のブドウ畑で収穫されたブドウのみを使用しなければなりません。
各ワインメーカーは自分の仕事に専念し、情熱を持って自らのテロワールの品質とユニークな特徴を守っています。
醸造家やワインの専門家で構成される審査員は、
ブドウ畑での作業とワインの両方に関して、揺るぎない品質を要求しています。
それぞれのシャンパーニュは、
情熱を持った著名なエノロジストとワインメーカーによる2回のブラインドテイスティング
(瓶詰め前のスティルワインの段階と、3年間の瓶内熟成後)を受けます。
スペシャル・クラブのシャンパーニュは、優れたヴィンテージの年にのみ生産されます。
この2つのテストに見事合格したワインメーカーだけが、
自分の選んだシャンパーニュを、
Club Trésorsのメンバー以外は使用できないユニークな
「スペシャル・クラブ」のボトルに入れることができるのです。
この「聖杯」を手に入れることは、真の栄誉であり、
ワインメーカーにとっては日々の献身とたゆまぬ努力が必要とされます。
このようにして選ばれたメンバーだけが、世界中のシャンパーニュ愛好家に、
彼らのシャンパーニュの卓越した品質と職人によるユニークな個性を保証することができるのです。
今回の生産者J.Lassalle(ジュール・ラサール)は、Champagneはもちろん、
ワインメーカーの中でも稀な女系3世代から生まれるエレガントでフェミニンな極上シャンパーニュの生産者です。
ドメーヌの祖、ジュール・ラサール(Jules lassalle)は、
1942年にランスのモンターニュ・ド・ランスのシニー・レ・ローズ村に家族経営のシャンパーニュ・メゾンを設立しました。
卓越した技術を持つ彼は、エレガントで引き締まった、ある種の豊かさを備えた特徴的なスタイルを確立しました。
1982年に彼が亡くなると、妻のオルガ(Olga/2021年に101歳 !)と
娘のシャンタル(Chantal Decelle-Lassalle)がドメーヌを引き継ぎ、
ジュールの築いた高い基準を維持しながら、ドメーヌを次のレベルへと押し上げていきました。
2006年には、シャンタルの娘である
アンジェリーヌ(Angéline Templier-Lassalle)がワインメーカーとして加わりました。
シャンパーニュでは稀な女系でラサール伝統である
“une femme, un esprit, un style”(1人の女性、1つの精神、1つのスタイル)はさらに磨きがかかり、
ジュール・ラサールのスタイルを継続しつつフェミニンさも加えています。
全てが長い熟成を経ており、どれもが驚くほどの複雑さと深みと独特のフェミニンさが魅力です。
現在、ドメーヌを取り仕切るアンジェリーヌは次の様に語っています。
ワイン業界において女性であるということは、毎日が挑戦です。
目指すところは、葡萄栽培家として成功すると共に、
自分たちのシャンパーニュを通して、
昔から家系に引き継がれるシャンパーニュへの情熱を世界中に伝えてゆくことです。
ジュール・ラサールが築いた、昔からのスタイルとフィロソフィーを守ることは、何よりも重要なことなのです。
ぶどう畑では、次の世代のことを考えて、今日も作業をしています。
今、何をしているのかを意識することは重要であり、
だからこそ持続可能な農業に携わることは当然の選択だったのです。
持続可能なブドウ栽培に取り組むことは、ワインのバランスを重視することを意味します。
ブドウの木が自然のテロワールとその生態系の豊かさを取り戻すことで、
アロマ、ボディ、構造のバランスが最適化されるのです。
そのため、土壌が提供してくれる製品に限りなく近いと言えるでしょう。
環境やテロワール、ブドウの木の本来の性質を尊重したこの生産は、
私たちがドメーヌで維持したいと考えている価値観と一致しています。
私たちは、3世代にわたって受け継がれてきたワイン造りの伝統のノウハウを、
今もなおブドウ畑で活かしており、同時に革新的であることを誇りに思っています。
私たちのドメーヌは、可能な限り最高のヴィンテージを提供するために、
私たちのファミリーの変化に応じて進化しています。
シニー・レ・ローズ村の女性は、このシャンパーニュの原則にこだわっています。
「私たちは、今日を明日のために生かしたいと心に決めている、
ノウハウや伝統、情熱的な仕事の後継者であることを決して忘れてはいけません」。
最上位クラスのシャンパーニュで偉大な年のみ生産されるこのキュヴェは、
鮮やかに輝く黄金色。
ほのかな甘草の風味のある爽やかさ、
時間と共に、ドライフルーツや軽く焼いた様なフルーツの香り(ドライレーズンやアプリコット等)、
フレッシュな白い花やブリオッシュの香ばしい香りが凝縮しています。
プレステージキュヴェらしい、リッチさを実感する造りです。
瑞々しさとミネラル感、そして、洗練された力強さがあります。
優雅さも備えており、偉大で、このキュヴェが他とは別格であることを本能的に感じさせてくれます。
熟成によって、さらに華麗さを備えると思いますが、
今でも繊細で官能的であり、
秋の夜長にじっくりと楽しめる1本となることでしょう。
また特製の箱入なので、プレゼントにも喜ばれると思いますよ。
SPÉCIAL CLUB BRUT 1ER CRU 2012
スペシャル・クラブ ブリュット プルミエ・クリュ 2012年産
参考上代 ¥16,500(税込)
品種構成:CHARDNNAY 60%, PINOT NOIR 40%,
瓶熟:10-11年, ドサージュ:8g/L
Club Trésorsには現在、28のドメーヌが参加しています。
すべて小規模ながらも優良生産者さんばかりなので試す価値はありますよ。
https://www.clubtresorsdechampagne.com/en/member
弊社扱いの生産者ではJ.LASSALLEの他に、
Pierre Gimonnet & Filsも参加していますので、機会があればこちらもお試しください。
バイヤー 菊池
【テイスティング・シリーズVol.119】秋の夜長に最適なプレステージ・シャンパーニュ
2021年10月11日
テイスティングレポート