Maison Albera(メゾン・アルベラ)という南仏ルシヨン地方の生産者で
ブドウ品種はルドネール・プリュ(Lledoner pelut)という、弊社がこれまで扱ったことのないものです。
カタルーニャ語で「毛むくじゃらのグルナッシュ」を意味していて、
グルナッシュの突然変異種とされています。
スペインでは、ルドネール・プリュは公式に “Garnacha Peluda “(ガルナッチャ・ペルーダ)と呼ばれているようです。
品種名が長いので、ワイン名はLE PELUT(ル・プリュ)としているようです。
この名前の由来となった、うぶ毛の生えた葉のおかげで
朝露を浴びてもその影響を受けないと言われる品種です。
フランスでは2018年のデータながら、286ヘクタールほど栽培されているようですが
2016年のデータでは900ヘクタールほどが栽培されていたとされるデータもあり、
栽培面積は減少傾向にあります。
ちなみに同じく2018年時のフランスではPinot Noirは36,727ヘクタール、
Cabernet Sauvignonは47,751ヘクタール、
Grenacheは82,966ヘクタールの栽培がされており、
ルドネール・プリュが、いかに小規模栽培で希少な品種なのか、お判り頂けるかと思います。
このルドネール・プリュは変異元であるグルナッシュの特徴とポテンシャルの一部を共有しており、
樹勢が強く、花ぶるいの影響を受けにくいと考えられています。
病虫害への耐性はグルナッシュと同じですが、ダニには弱いようで、
手間のかかる品種です。
房と果実の大きさは中程度で、グルナッシュに近い潜在能力を持っていますが、
グルナッシュに比べると天然アルコール度数はやや低めで酸もあるもののようです。
ただ、このワインの度数は14度ほどあり、アルコールの数値上では高めの部類ですが、
それを感じさせないほどの果実感としなやかさがあります。酸もバランスが取れています。
ルドネール・プリュは通常はグルナッシュを始め、
スペインでは主にカベルネ・ソーヴィニヨンとテンプラニーリョの2品種とのブレンドなど
他品種とブレンドされてリリースされることが多いようですが、
このキュヴェではルドネール・プリュのみで造られた希少なワインとなっています。
このワイナリーでは
変異元であるグルナッシュ・ノワールのみのキュヴェも別で造られているので、
生産者であるメゾン・アルベラのルドネール・プリュへの熱い思いはひしひしと感じます。
メゾン・アルベラを運営するファブリスとアレクサンドル・リュウ兄弟(Fabrice & Alexandre RIEU)
カニグー山 (Mount Canigou)に面した標高500メートル以上の台地に
ルシヨン平野と地中海を見下ろす、古くからある状態の良いブドウ畑
ラベルに記載されているALTITUDE 529mとは、
畑のある標高(アルティテュード)529mを表しています。
標高をあえて表ラベルに記載するというのは、これまであまりお目にかかったことはないですね。
それほど、この土地のテロワールに誇りを持っているのでしょう。
南フランスのルシヨン地方の標高500mを超えるテロワールから、
環境に配慮したフレッシュでエレガントなワイン造りを彼らは心がけています。
南仏のワインというと日照時間がブルゴーニュなどと比べ長く、雨も少なく温暖な気候の為、
そこから得られる果実の熟度の高さが前面に押し出された重厚なワインが多いのが特徴です。
メゾン・アルベラの畑では日照時間が長く、定期的に雨が降り、
温度差が大きいという優れた気候条件に恵まれ、適度な熟度に加え、
高標高で寒暖差のあるテロワールのおかげで、
熟度と洗練された酸やしなやかさがバランスよくしっかりと備わったワインに仕上がっています。
ゆっくりと熟し、水のストレスがないため、
ブドウが病気や酸化から守られるという利点もあるのです。
テロワールやブドウの純粋さを反映しており、しっかりとした赤ワインながらも、
軽やかさと力強さが同居し、並外れた新鮮さと素晴らしく素直な果実味を持っています。
ブラックベリーやブラックチェリー、プラム、ラズベリー、ブルーベリー、カシスに加え、
スミレなどのフローラルさもあり、
チェリーなどのジャムにリコリスやシナモンやジンジャーなどに
ハーブが溶け込んだような複雑で食欲をそそる香りが印象的です。
ツヤのある透明感があり、
熟したプラムなどの黒系果実で
熟度やジューシーで凝縮した果実味と旨味があり綺麗な酸もしっかりとあります。
地中海地方の料理との相性は抜群で、
ブイヤベースやラタトゥイユ、ハーブを使ったチキンやポークとは特におすすめです。
ペッパーで簡単にグリルしただけのお肉はもちろん、
豚バラの肉じゃがや、マグロステーキ、タレを使った焼き鳥、
うなぎやさんまのかば焼きなど一般的な和食にもとても合わせやすいです。
前年のLE PELUT 2019年産はギド・アシェット誌2022年版
(Le Guide HACHETTE:フランスで最も歴史があり、発行部数の多いワイン評価誌)において
二つ星を獲得し、
またグルナッシュの国際コンクール、
インターナショナル・デ・グルナッシュ・デュ・モンド
(International des Grenaches du Monde)においても
金メダルを獲得するなどこのレアな品種に高い評価を与えています。
メゾン・アルベラ ホームページ⇒こちら
国は異なっても、人気の高い品種のワインへの偏りが多い中で、
この希少な品種で新しいワインの扉を開けてみませんか?
MAISON ALBERA メゾン・アルベラ
LE PELUT 2020 ル・プリュ 2020年産 参考上代¥2,750 (税別)
バイヤー菊池