NEWS・コラム

テイスティングレポート

【テイスティング・シリーズVol.250:後編】
フランスを代表する生産者のひとつ、ドメーヌ・ド・ラ・ジャナス (2)

2024年5月22日

テイスティングレポート

前回
【テイスティング・シリーズVol.250:前編】フランスを代表する生産者のひとつ、ドメーヌ・ド・ラ・ジャナス (1) の続きです。
今回はジャナスのワインメイキングと、
コート・デュ・ローヌ・ルージュ2022について。
 
 
・・・・・
ドメーヌ・ド・ラ・ジャナスは、
毎年、ドメーヌのすべての土壌、日当たり、微細な気候を綿密に分析し、
栽培する13のブドウ品種の方程式を解き、
それぞれテロワールとヴィンテージの個性を最大化する素晴らしいキュヴェに仕上げています。
 
 
過剰に抽出することのない凝縮感、
エレガントでありながら満足のいく重厚感、フィネスの中にある力強さ…。
これが、象徴的なドメーヌ・ド・ラ・ジャナスのスタイルのひとつだと感じます。
ただジャナスのワインを表現しようとすると、
その品質を表現するのに端的な「スタイル」という言葉を用いることの不適当さにも直面します。
 
果実の豊かさには現代的な側面がありますが、
それは産地と複雑さの顕著な感覚と見事に調和しているのです。
ひとつの枠には決して収まらない常にその予想の上を行く、
複雑な味わいがぎっしりと詰まっているのです。
 
 
ドメーヌ・ド・ラ・ジャナスの畑は、
農薬、除草剤、殺虫剤を使わずにビオロジックからビオディナミで栽培されています。
良く手入れされた畑と温暖で病害が少ない為、
コート・デュ・ローヌの平均収量は1ヘクタールあたり46ヘクトリットルと恵まれた量が採れます。
ブドウはビオによって生命力に溢れているので、腐敗果や不良果が少ないのです。
 
今回はコート・デュ・ローヌ・ルージュを取り上げてみましょう。
 
ブドウは手摘みで丁寧に収穫され、
コート・デュ・ローヌ ルージュ用に収穫されたブドウの80%は除梗し、
12~15日間浸漬されます。
熟成は約9カ月間、大桶やコンクリートタンク等で行われます。
 
コート・デュ・ローヌ ルージュの品種構成は
グルナッシュ40%、その他にムールヴェドル20%、
カリニャン20%、シラー15%、サンソー5%のブレンドで造られます。
それぞれの品種の質がとても高く、互いの良さを引き出す、絶妙な構成です。
 
エメの農作業やイザベルのセラーでの助けを借りながら、
クリストフはテロワールとヴィンテージの両方を尊重した丁寧な醸造によって、
グルナッシュをベースにしたワインの典型的な高揚感を引き出しています。
その結果、リッチで風味豊かな幅広いワインが生まれ、
複雑でありながらもバランスが取れているのです。
  
クリストフは “グルナッシュの大擁護者”を自称しており、
グルナッシュは現在でも彼らの全ブドウ畑で75%を占めています。
グルナッシュの大きな可能性を信じ、
その味わいの素晴らしさを最大限に引き出す為に尽力しているのです。
 
ちなみに高樹齢のグルナッシュ100%で造る
シャトーヌフ・デュ・パプ ショーパン(Châteauneuf-du-Pape“Chaupin”)は、
そんな彼の想いが詰まった渾身のキュヴェと言えます。
 
 
さて、
2022年産は例外的に早熟だった年で、
優れたバランスを持つよりフレッシュなワインに仕上がっています。
 
ブラックチェリーやストロベリーなどのフレッシュな果実の甘美な香りが広がり、
ほのかな甘草の香りや、熟した野生のベリーのアロマを持つ、
しっかりとした構造の赤ワインです。
味わいには適度なタンニンがあり、風味が豊か。
爽やかで素直な味わいで、美しい円みがあります。
 
 
フレッシュな果実のアロマにスパイスと甘草のニュアンスは飲み心地がよく、
複雑な味わいも既に感じられ、熟成のポテンシャルも感じさせる見事な造りです。
 
 
タンニンとテクスチャーは素晴らしいフィネスを備え、
ひたすらピュアで上質、若々しく、常にエレガントなのが、このワインの特長です。
 
味わい深く、それでいてとても親しみやすいワインで、
コストパフォーマンスが非常に高いと毎年、好評を得ています。
著名な評論家達が高い評価を与えているのも納得できる高い品質です。
 
 
是非、ご自宅やお店でも常備して頂きたい、安心してオススメできるワインです。
 
 
DOMAINE DE LA JANASSE
ドメーヌ・ド・ラ・ジャナス
CÔTES DU RHÔNE ROUGE 2022

コート・デュ・ローヌ ルージュ
税込参考上代¥3,850
 
品種: 40% Grenache, 20 % Mourvèdre, 20% Carignan, 15% Syrah, 5% Cinsault
 

 
ジャナスのブドウ畑は、
主にシャトーヌフ・デュ・パプのクルテゾンのコミューンにありますが、
多種多様なテロワールの恩恵を受けています。
  
ワインは、このアペラシオンの最も高貴な意味での典型的なもので、
リッチで寛大でありながら、常にテロワールに充実そして正確で、ボディのしっかりとしたものです。
 
伝統的なブレンドから、古樹からのセレクション、区画ごとのキュヴェまで、
ドメーヌ・ド・ラ・ジャナスのワインはどれも複雑さとフィネスを備えており、
リリースされたばかりでも飲みやすく、熟成も十分に楽しめるのも魅力のひとつです。
 
彼らの名刺代わりである、
このコート・デュ・ローヌを気に入って頂けたら、
彼らの渾身のワイン、シャトーヌフ・デュ・パプの数々も是非お試しください。
 
この地のみならず、
フランスを代表する偉大なワインのひとつであることを体感して頂けると思います。
 
 
バイヤー菊池